コーチングには『アファメーション』と『セルフトーク』という2つの用語があります。
この2つの概念は、特に自分で自分自身のコーチングを行うセルフコーチングの中では正しい理解が必須と言えるくらいに重要なもので「それぞれの違いがわかる」「正しい理解をしている」と言えるかどうかで自分に施すコーチングの結果にも大きな違いが出るでしょう。
本記事では「アファメーション」と「セルフトーク」の基本的な解説に加えて、コーチングを学んでいる全ての人がそれぞれの違いを把握し、自信を持って「アファメーション」や「セルフトークのマネジメント」を実践できるよう解説していきます。

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まずは、2つの言葉の理解に必要な前提知識「ブリーフシステム」を理解しよう
『アファメーション』と『セルフトーク』それぞれの違いを理解するために必要な前提知識として、まずは2つの言葉と密接に関係している「ブリーフシステム」について学びましょう。
ブリーフシステムは言葉を分けると「信念(Belief)」と「体系(System)」で分けられ、そのまま訳すと「信念の体系」という意味になります。
体系という表現で意味が掴みにくくなっていますが「信念のかたまり」や「信念の集合体」のように捉えてもらえれば少し分かりやすくなるでしょうか。
『アファメーション』や『セルフトークのマネジメント』が「ブリーフシステム」と強く関係しているのは、それぞれの技術が『言葉』を活用して自分の手で「ブリーフシステム」に直接影響を与える技術だからです。
「ブリーフシステム」を『信念のかたまり』や『信念の集合体』と解説しましたが、ここではまず『信念(Belief)とは何か?』が重要になります。
『信念』は人の脳に作られる1つ1つの認識パターン
突然ですが
「コーヒーと紅茶あるけどどっちがいい?」
「犬と猫だったらどっちが好き?」
「USJとディズニーランドはどっち派?」
「朝食食べるとしたらご飯がいい?パンがいい?」
こんな質問、普通に社会生活を送っていると誰でも1度はされたことありますよね。
そしてまず間違いなく全ての人が選択肢の一つを選ぶか選ばないかまでを含め、決まった答えを持っているはずです。
こういった例えは『ブリーフシステム』を理解してもらうために使う代表的なものですが、実は人間の脳の働きの中でこのような自分の判断一つ一つを決めているものを『信念(Belief)』と呼んでいます。
ちょっと難しく言えば前頭前野や大脳辺縁系に作られた認識のパターンを『信念(Belief)』と言い、その認識パターンの集合体が『ブリーフシステム』です。
ブリーフシステムそのものは脳の働きであって目に見えないものですが、先ほどのような質問に答えを出すことで『自分がどんな行動を取るか』が決まるため、物事を判断する事で生まれる行動規範全てを司っている脳の働きだと思ってもらえれば間違いはないと思います。
『アファメーション』と『セルフトーク』がブリーフシステムになぜ密接に関係していて、最終的にはコーチングをする事で目標達成や自己変革を叶えるのかと言えば、ブリーフシステムが人の行動規範を決める核になっている事から、その核に対して自分の力で介入することができるようになるためです。
コーチが「言葉の力」を強く意識する理由
いきなりですが、優秀なコーチの特徴として「悪態や負け惜しみ、妬み嫉みのようなネガティブで消極的な言葉を徹底して使わない」という特徴があります。
単純にコーチは人のゴール達成を側で徹底的にサポートするのが仕事なので「根っからの善い人間でないと務まらない」というのもあると思いますが、これはコーチが『セルフトークのマネジメント』を重要視している代表的な例であり、多くの人に効果のある特に汎用的なセルフトークをマネジメントする実践例でもあります。
『セルフトーク』や『アファメーション』はブリーフシステムと強い関係があると冒頭から説明をしていますが、これは1つの「ブリーフシステム」が生まれるまでの過程に理由があります。
『信念(Belief)』は人が意思決定を下す核になる部分であり、ひいては普段の行動規範の全てに影響を与えているものなのですが、実はこの『信念(Belief)』は『外部からの言葉を受け入れる』事で作られています。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
引用:『サラダ記念日』俵万智
という有名な短歌がありますが、人は自分の保護者や恋人、伴侶など特に強い影響を受けている人の言葉ほど、受け入れて無意識に自分の『信念(Belief)』の1つにしてしまう癖があります。
(サラダ記念日はちょっと一般的ではないかもしれませんが笑)。
それ以外にも
「自分の好きなアイドルが出演しているCMの商品が理由はないけどなんとなく好き」
「昔付き合っていた恋人の好みや趣味に影響されて別れてもそればかり選んでる」
「自分の両親が極端に綺麗好きだったので一人暮らしになっても部屋が汚れていると落ち着かない」
などなど、「外部からの言葉を受け入れた」事で生まれる価値観は日常の中に数え切れないほどあります。
『アファメーション』や『セルフトーク』の正しい理解が、セルフコーチングにおいては特に重要になると冒頭でお伝えしましたが、その理由は
『アファメーション』が『自分に自分の言葉を受け入れさせてブリーフシステムを書き換える技術』
であり、
『セルフトークのマネジメント』が『自分のブリーフシステムから発される、ゴール達成において都合の悪い言葉を受け入れず、自分のゴール達成において都合のいい言葉だけを自分から意識的に発して受け入れる技術』
だからです。
【個別用語解説】

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アファメーションとセルフトークの基礎知識
アファメーションとは
ブリーフシステムの説明を踏まえてアファメーションの解説をすると、まずおさらいとしてアファメーションは
「ルールに基づいて作った言葉を自分に語りかける」
だけの非常にシンプルなものです。
アファメーションそのものがとてもシンプルな技術である事から、一見してその効果を疑ってしまう方も多くいると思いますがブリーフシステムの内容を把握した状態であれば少し見方が変わってくるかと思います。
もちろん、ブリーフシステム以外にもアファメーションはTPIEというコーチングプログラムの中で特に重要な技術なので「エフィカシー」「I×V=R」「コンフォートゾーン」「スコトーマ」など、直接関係していないところを探す方が難しい概念なのですが、『セルフトーク』と比較して特に違いの出る部分は『能動的な働きかけか、受動的な働きかけか』の違いにあります。
ブリーフシステムは普段何気なく見ているテレビなどの情報から無意識に変わることもありますが、当然自分から語りかけたとしても言葉が受け入れられている事には変わらないので習慣的にアファメーションをすれば期間内に何度も目につくテレビCMのような広告効果と一緒で自然と影響は出てきます。
ただ、テレビやCMのような広告とは違いアファメーションで受け入れる言葉は他人の都合で作られた言葉ではなく、自分が自分のために作った言葉です。
「我を忘れる」という表現がありますが、人は自然に社会生活を送るだけでも非常に多くの他人の都合で作られた言葉にさらされて生活する事になります。
そんな世の中ですから、「自分の言葉を自分に受け入れさせる」事がコーチングの中で強く重要視されたとしても不思議なことではないでしょう。
セルフトークとは
同じく、ブリーフシステムの説明を踏まえてセルフトークの解説をすると、アファメーションと比べて受動的にブリーフシステムのコントロールをするのが『セルフトークのマネジメント』です。
『セルフトーク』そのものは簡単に言うと「独り言」や「心の声」を意味しています。
例えば電車を乗り過ごしてしまった時に
「うわー、マジか、会社に電話しないと」
と呟いてしまうような日常の中でポロっと出る言葉が誰しもあると思います。
実はこういった自分の心の中から出るような言葉を、人は1日あたり4万回以上も発しながら生活しています。
人間の情報処理は意識しているか、していないかに関わらず基本的に言葉を使って処理しているので、なんとなく口から出てしまう独り言もありますが、気付かずに発している心の声も含めると大体普通の生活で1〜2秒毎に1回(※)くらいの頻度でセルフトークを発して暮らしています。
※ざっくりした計算ですが1日のうち起きている時間を18時間としてセルフトークの回数4万回で割った場合
アファメーションが自分の言葉を受け入れる事でブリーフシステムに介入する技術だと言いましたが『セルフトーク』は自分のブリーフシステムから発されている『今までに受け入れた言葉から作られたもの』です。
テレビCMが良い例ですが、社会生活を送っていると誰でも他人の都合で作られた言葉を知らないうちに受け入れて無意識にブリーフの1つにしている事があります。
これがもし
「きのこの山」と「たけのこの里」だったら「たけのこの里」の方が好き
くらいのブリーフであれば些細な事ですが
「自分には夢が叶えられない」
「目上の人の言う事が理不尽でもサラリーマンなんだから我慢しないと」
「年収は高ければ高いほど良いから、どんなに辛い仕事でも我慢料だと思って頑張らないと」
のようなブリーフが自分の知らないうちに生まれて、頼んでもいなかったはずなのに自分の価値観の1つになっているとしたら、少し恐怖を覚えてしまうと思います。
ブリーフシステムの中から出る言葉はプロのコーチも含めて、誰であっても常に完璧とは言えません。
もちろんセルフトークのマネジメントが上手であればあるほど自分にとって都合の悪いセルフトークを防いで自分らしい言葉だけを自分でフィルタリングして口にするようにしていますが、普通に生活していれば新しく受け入れる外部の言葉から逃げ切ることはできませんし、24時間365日すべてのセルフトークを意識に上げて完全にコントロールし切った状態で生活するのは超人レベルの技術力が要求されます。
ただ、だからこそ『アファメーション』と『セルフトークのマネジメント』には違いがあり、自分で自分の望んだ通りのブリーフシステムに変化させて自己変革やゴール達成を叶えるために双方の違いを把握して正しく理解し、習慣的に実践することが重要になってきます。
最後に簡単なセルフトークのマネジメントで実践的なアドバイスを1つ、
都合のいいセルフトーク(積極的な発言、人を尊重する言葉、親切な対応など)をした時は「自分らしい」
都合の悪いセルフトーク(消極的な言葉や、暴言、妬み、嫉みなど)をした時は「自分らしくない」
と音に出さず頭の中で思うだけで良いので意識的に言葉にするようにしてみてください。
慣れないうちは『自分の心の声を観察して意識に上げる』までの作業に苦労するかもしれませんが習慣的に続けていれば自然と『観察して意識に上げる』までの過程そのものを無意識に行えるようになります。
あとはヒヨコの性別を判断するような流れ作業と同じで、慣れれば慣れるほどスムーズに自分らしい言葉だけを受け入れて生活する事が出来るようになるでしょう。
アファメーションはブリーフシステムに介入する技術、セルフトークはブリーフシステムが発する無意識の言葉
『アファメーション』と『セルフトーク』の違いや、それぞれの言葉がコーチングにおいてゴール達成や自己変革にどう関係しているのか、ご理解いただけたでしょうか。
どちらも前提知識のないまま見ると同じもののように感じる方が多いのですが、ブリーフシステムの働き1つを理解した上でそれぞれを比較するだけでもコーチングにおいてそれぞれの役割が明確に分かれていることが理解してもらえるかと思います。
『アファメーション』と『セルフトークのマネジメント』は「自分で自分のマインドを上手に扱う」という目的において非常にシンプルながらとても効果的な技術です。
この記事がTPIEを学ぶ方、コーチングやセルフコーチングに興味を持ち情報収集している方にとって有益なものになれば幸いです。

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